柔らかい骨
彼は立ち上がった。
生まれて始めての行為だった。
彼の足は立ち上がった途端に折れてしまった。
彼はぎゃっと叫んで倒れた。倒れた時両腕で体を支えてしまった。
これも生まれて初めての行為だった。両腕を地面についた途端、両腕が折れてしまった。
彼は痛さのあまり生まれて始めて転げ回った。背骨が砕けた。
骨盤が割れ、鎖骨が真っ二つになった。
彼は動く気力をなくしてその場にぐたりと横たわっていた。
誰も彼を助け起こそうとはしなかった。
風が吹いて、粉になった彼は、広い荒野の上を舞っていた。
後には何も残らない。
と、このような話を思いついたのであるが、どうも自分で思いついたのではなくて、昔どこかで読んだか見たかした記憶があると思い出した。でも思い出せないので原典を知っている人がいたら教えてください。