石井鉱基というひとは天下り特殊法人について最初に警鐘を鳴らした議員で、日本の高級官僚が作り上げた独裁の仕組みに危機感を感じ「このソ連と同じシステムは必ず日本を崩壊に至らす」と問題化、独自に調査を始めた。
天下り問題やわけのわからない特殊法人についてそれ以前は誰も詳しく知らなかった。石井鉱基議員がこの問題を公のものとした功績はあまりにも大きい。
彼は徒党を組むタイプの人間ではなく、一人黙々と、脅しやすかしや色んな手を利用しながら資料を集めまくり、いよいよ「皆があっと驚くようなことを証拠と共に国会で明らかにする」と、家族に覚悟を延べ、出かけたところを刺し殺された。
石井氏が集めた資料は段ボール箱にいくつもあり、それらは民主党によって持ち去られた。
当時の菅や鳩山はその段ボールの束の前で記者会見を行い「石井先生の意志を継ぎ、我々がこの資料を正しく使います」と高らかに宣言。その後、そのまま放置した。
何の進展もないばかりか、問い合わせにも答えない民主党に怒り狂った石井鉱基の娘さんが資料の段ボールを民主党から引き上げたのはそれから随分経ってからだ。石井鉱基が命に替えて手に入れた資料の箱は、開封した形跡すらなかったという。
民主党というのはそういう政党だ。
石井鉱基がぶち壊したかったのは行政による独裁システムで、「行政支配」とか「官僚支配」とか言われている今はなきソ連と全く同じシステムを指す。国民が飢えていても高額の税金を毟り取り、特殊法人や見せかけの民間企業を隠れ蓑にして国家予算とは別枠に年間2~300兆の金を動かす仕組みだ。
長らく自民党や社会党という政党はこのシステムを守るために行政の作ったストーリーを追うだけの政治ごっこを続けていた。
昨年の政権交代で少しは何かが進展するかと思いきや、民主党の中の既得権益組はかつての自民党と志が同じであるから、どんなことをしても今までの政治を変えるわけにはいかぬ、とばかりに行政代弁者の菅を中心に”行政党”ともいうべき傀儡内閣を作り、手始めに衆院選の公約を全て反故にしたり、増税宣言を失言する振りをしてわざと参院選で負けたり、田中角栄の直属で民族派の小沢一郎に執拗な攻撃を加えるなど超党派”行政党”らしい振る舞いを続けてきた。
その菅が演説の中でこともあろうに石井鉱基の名を出して同士あつかいしたのだから誰だって驚く。
石井鉱基が日本のために破壊しようとしていたまさにそのシステムの直接の子飼いであり執行者である菅が直々に石井の名を口にするとは、なんという傲慢、なんという恥知らず、なんという極悪非道。