天皇陛下が突然、君の部屋にやって来た。
驚く君、立ちすくんでいる。
「わわわわ。どうか、おかけ下さいませ」君は気を取り直し天皇に座布団を差し出す。しかし、絶好のチャンスだ。君は天皇の様子をうかがい、時を待っている。
「田んぼの具合はどうですか」油断させようと必死でべんちゃらをいう君。「息子さんはお元気ですか。日の丸、あげてます。皇后様は」天皇ぴくりとする。「あわわ。あのあの。北方領土は我が国の、いえ、あなた様のものです」
天皇は空ろな目をして窓の外を眺める。君は考えを読まれているような気になるが、気を取り直し次のべんちゃらを考える。「あなた様は偉大です。生き神です。きいみいがあよおおおおおはあ」
「汝臣民よ。願いを三つかなえよう」突然天皇が口を開いた。
すわっ。やはり神様であったか。君は驚く。しかしまたとないチャンスだ。願い事を叶えてもらおう。
「ではあの、何でも見透かす目を頂ければ」
何でも見透かす目を頂いた。
「次に、何でも器用にこなす腕を」
器用にこなす腕を頂いた。
「最後に、お茶が一杯恐い」
茶とまんじゅうを頂いた。