コックさんをしていた時の話ですが、私と池惟さんは透明のでかいボールを前に並んでハンバーグを練っていました。で、池惟さんがなんかむかつく事を言ってきたので思わず彼の後頭部を叩いてしまいました。私としてはあんたとはやっとれんわ的な冗談めかした叩き方をしたつもりが、油断していた池惟さんは前のめりになりボールに顔を突っ込みました。その勢いで透明のボールが割れ、ついでに池惟さんの頭も割れてしまいました。
あーっと思った時には手遅れでハンバーグと脳味噌が少し飛び散っています。このままでは池惟さんが死んでしまうと思った私は飛び散った脳味噌とハンバーグを選り分け、脳味噌のくずを秤に乗せようとしました。もしはみ出た脳味噌が百グラムを越えるようだとまず池惟さんの命はありません。しかし、脳味噌を乗せているつもりがハンバーグだったりと、うまくいきません。私は焦りました。池惟さんは決して悪人ではなかった、なのに私に殺されたかもしれないのです。暫くすると刑事がやってきました。刑事も脳味噌とハンバーグを選り分けて秤に乗せ始めます。やはり脳味噌とハンバーグをうまく選別する事は難しいようです。私を殺人者として扱うかどうか決めかねている様子でした。刑事がもたもたしている隙に私は次のオーダーの調理に取り掛かり始めました。いつまでものろまの刑事に付き合ってるとお客さんが待ちくたびれてしまうからです。